告知しますか?
いよいよ国立病院機構 U病院 へ行く日となった。 10時の予約だったが、ドクターによる診察は初めてということもあり、早めに行くことにした。
「おれ、たばこやめたんいつ頃やったかなあ」
「確か私が小学生の時やから ○○年くらい前やない?」
「ここ 手術したの 何年前やったかなあ?」
「まだお兄ちゃんが家にいてたから就職前、ということは・・」
几帳面な母がいてくれたら即答できるような質問に手こずりながらも、なんとか問診票を埋めたのが10時前。 しかし 実際に診察室に呼ばれたのは予約時間の1時間後の11時だった。
「お待たせしてすみませんねえ」
緊張している私たちを笑顔で迎えてくれたのは、K医師。 K医師が肺ガングループの責任者ということは、まだ父には言ってない。
「D先生のところでレントゲン撮りはったんですね。 D先生っていい先生でしょ~」
にこやかな口調と表情に、私たちの緊張はほぐれていく。
「えーと、CT拝見したんですが、昔からあった影に 重なるように新しい影ができてるんですよね 咳とか体重減ってきたとか自覚症状はありませんか?」
「いえ それが 全くないんですわ」
「そうですか。 それではこれから この影が何なのか 癌なのか 結核なのか 炎症性の疾患なのかを調べていくことにしましょう。」
診察後に血液検査。 そして今日から3日間連続で痰を採取し検査することになった。
「これからいろいろ検査していきますが もし ”癌” とわかったら 告知してもよろしいですか?」
「はい。 もう歳ですし、ちゃんと知っておきたいので」
「わかりました。 でもね、ご主人。 決して悲劇のヒロインにはならないでくださいね。 ここに来ると オレはもうダメだ~ って落ち込んじゃう人がいるんですが、癌なら癌の治療法がありますので・・・ 普通に生活しててくださいね。」
診察終了。 検査室で血液検査と痰の採取をして帰途についた。
「いや~ 一緒に来てくれて助かったわ。 検査のこととか提出場所とか 一回で覚えられへんわ」
「私も メモってなかったら、わけわからんかったわ」
検査の結果は、一週間後に出る。
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