補聴器
「ちょっとリモコン貸して」
といってTVの音量を上げると、
「これ以上大きくしたらワシ 音が割れて 聞こえにくいねん」
また、ファミレスで食事をした後に
「周りでたくさんの人が喋ってるとなあ、音が ぅわん ぅわん 響いて、 お前の声が 聞こえんのや」
補聴器をつけたからといって、クリアな音が聞こえるかというと そうでもないらしい。 体は丈夫な父だが、「聞こえ」の問題ばかりは どうしようもないみたいだ。
いわゆる「老人性難聴」は、加齢による生理的変化と考えられ、治療対象にはならず、自力でなんとかしなくてはならない。
父は取扱のある眼鏡屋に行ったり、百貨店に行ったり、通信販売を利用したり とあれこれ自分にあう補聴器を求めていろいろアクションを起こしてはいるのだが、耳が遠い=聞こえにくい程度は 歳とともに進んでいる。
ある日ファミレスに行った後、
「今日も、聞こえにくかったやろ?」
と父に聞いてみると
「うんにゃ~ 今日は大丈夫」
「え なんで!?」
「へへ 今日はな、 両方に耳栓しとるんや」
注 : ”耳栓”は、父の隠語で =「補聴器」 のこと。
父は外出時に、ポケット型の補聴器をつけているのだが、 (ポケット型というのは、『胸のポケットにラジオをいれてイヤホンで音楽でも聴いているようにみえる補聴器』 のことで、ポケットがなければ首からぶらさげることも可能なタイプ) その日はポケット型プラス、耳穴式(これこそ耳栓そのものタイプ)を着用していたのだ。
「こうやったらな、あんまり 響かへんねん」
<必要は発明の母> というが、父も父なりに 工夫をしている。
だがしかし、補聴器の力を借りていても 耳が遠い=怖い と感じることがあるのだ。
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